「衆院選とくしまのミカタ」(10)後藤田氏 VS 仁木氏 7度目の対決
投開票日が目前に迫りました。徳島1区では無所属元職の仁木博文氏と、自民党前職の後藤田正純氏が激しく争っています。自民党県連と後藤田氏の対立で情勢は混迷。旧徳島3区時代も含め、7度目の対決を制するのはどちらか。キャップ、目が離せません
後輩記者) 注目の徳島1区はどんな情勢ですか。
坂田キャップ) 候補者4人のうち、無所属元職の仁木氏と自民前職の後藤田氏の争いが激しくなっている。区割り変更で徳島1区になって以降、2014年、17年の選挙では後藤田氏が2万票以上の差をつけて仁木氏に勝利したけど、今回は最後まで予断を許さない状況だよ。日本維新の会が初めて擁立した新人の吉田知代氏も支持拡大に努め、無所属新人の佐藤行俊氏は独自の戦いで挑んでいるよ。
後輩記者) 23~26日に行った徳島新聞の電話世論調査では、仁木氏がやや先行していました。要因はなんですか。
坂田キャップ) やはり、後藤田氏と自民県連の対立で保守が割れたことが大きい。自民と選挙協力を続けてきた公明も1区を自主投票にしたこともあり、仁木氏にとってはチャンスといえるね。ただ、誰に投票するか決めていないという回答も多かったから、情勢は変わる可能性もあるよ。
後輩記者) 仁木氏も手応えを感じているの。
坂田キャップ) 仁木氏は28日の街頭演説で「今までと違う風を感じている。国会にいって徳島をよくするため、みなさんとともに頑張っていく」と言っていたよ。
後輩記者) 改めて仁木氏の訴えを教えてください。
坂田キャップ) 仁木氏は今回の衆院選を「コロナ選挙」と位置づけ、現場を知る医師の視点で国政を動かす必要があると訴えている。選挙中に白衣を着ているのはその象徴なんだ。それと、医療や健康に関する産業を集めて徳島に仕事をつくるとも主張しているね。自公政権を声高に批判するのではなく、対立を際立たせない訴えで幅広い支持を得たいとの狙いがうかがえるね。
後輩記者) 仁木氏を支援する態勢はどうなっていますか。
坂田キャップ) 公示前日の18日、仁木氏は野党共闘を目指す市民団体「オール徳島」との政策協定に調印し、「市民と野党の共同候補」として推薦を受けたよ。国政4野党(立民、共産、社民、れいわ新選組)と安全保障関連法廃止を求めるグループ「市民連合」の共通政策に合意したんだ。
並んでマイクを持つ仁木陣営の長池文武選対本部長=10月22日
後輩記者) 野党色を鮮明にするのは、無所属で保守層の取り込みを目指してきた意図と矛盾しませんか。
坂田キャップ) 2017年の前回衆院選で、仁木氏は民進党から安全保障関連法を容認する立場の希望の党に移り、野党が共闘できなかった。仁木氏は「前回は民進党が希望の党への合流を決めた。政治家としての歩みはぶれていない」と述べ、軸足はあくまで野党側にあるとしているよ。
坂田キャップ) 民主党が政権交代を果たした2009年に、ともに初当選した国民民主党の玉木雄一郎代表も仁木氏の応援に駆け付けたよ。コロナ対応に力を注ぐ無所属候補をアピールしつつ、政党の枠を超えて幅広い支持を集められるかが焦点だね。
後輩記者) 後藤田氏はどんな状況ですか。
坂田キャップ) 後藤田氏は、三木亨参院議員や各市町長、遠藤彰良元徳島市長らの支援を受け、組織力を生かした運動を展開している。選挙カーで各地を回り、保守票固めや無党派層の取り込みに懸命だよ。
後輩記者) 有権者に何を訴えていますか。
坂田キャップ) 後藤田氏は「徳島が政権与党としっかりつながるのか、共産党が支援する野党候補と後退していくのか。その選択だ」と街頭で声を上げている。野党の力を結集する仁木氏を意識していることがうかがえるね。
後輩記者) 公示前は飯泉嘉門知事や県議を念頭に「県政刷新」を強調していましたが。
坂田キャップ) もちろん、主張はぶれていない。30日の街頭演説でも「地方を牛耳る力に、私が真実という液体を垂らした。すると瞬く間に抵抗勢力に変わった。その勢力との戦いでもある。これからも県政、市政の改革をやっていく。国政だけではない」と述べていたよ。ただ、選挙戦中盤以降は、与党の実績や政権選択の重要性を説明する時間がより増えている。
後輩記者) 抵抗勢力って何ですか。
坂田キャップ) 飯泉知事に衆院選への出馬を促してきた自民県議らを指しているとみられるよ。後藤田氏は「選挙でマイナスになったとしても、おかしいことはおかしいと言っていく。選挙にプラスかマイナスかじゃなく、国民、県民にプラスかマイナスかなんだ」と自身の信念を語っている。
後輩記者) 厳しい情勢を受け、党本部からも応援が入っていますね。
坂田キャップ) 後藤田氏が所属する石破派の石破茂元幹事長や、小渕優子元経産相、小野寺五典元防衛相、梶山弘志元経産相が来県し、激励の言葉を送ったよ。