2021/11/01 01:50

【動画】徳島1区当選の仁木博文氏 「強い信念持ち仕事」

支持者と抱き合って喜ぶ仁木さん=31日午後11時ごろ、徳島市南末広町

 「よっしゃー」「やったぞ」。午後10時5分、テレビの選挙特番が当選確実を報じた瞬間、徳島市南末広町の事務所に集まった約150人から大きな歓声が上がった。約20分後、市内で待機していた仁木さんが到着。拍手を浴びながら、満面の笑みで支持者と固く握手を交わした。

 7度目の国政挑戦は、初めて無所属で臨んだ。小選挙区で負ければ比例復活がない背水の陣だったが、この決断が奏功した。「これまで話ができなかった人にも会えた」。野党の幅広い支持に加え、保守層や無党派層にまで浸透し、自民前職に約2万2千票の差をつけた。

 険しい道のりだった。「医療現場を良くしたい」との思いを抱き、旧民主党公認で出馬した2003年の初挑戦以来、組織力に勝る自民前職の厚い壁に阻まれた。旧民主党が政権交代を果たした09年こそ比例復活で当選したが、選挙区では全敗だった。

 17年には希望の党に移り「最後の戦い」と位置付けたものの、あと一歩届かなかった。選挙後、家族と泣きながらポスターを剥がして回った。「仁木は終わった」「医者をしていればいい」。周囲からこう言われ、政治から身を引くよう勧められた。

 でも諦め切れなかった。心の支えとなったのは、今年1月に亡くなった父一郎さんの言葉だった。「人生はたった一度。やらずに後悔するより、やって後悔した方がいい」

 医師の仕事の合間に選挙区内を歩き、有権者と向き合った。政治への期待と不満、新型コロナウイルスの影響で疲弊する生活...。さまざまな声を聞く中で「徳島をもっと良くしたい」との思いを抑えきれなくなった。当初は立候補に反対した家族や支持者が再び集まった。支援のうねりは日増しに大きくなっていった。

 報道陣から勝因を聞かれると、涙を流しながら10秒ほど沈黙した。「厳しい戦いだったし、万歳も初めて。本当に夢のようだ」と声を振り絞り、前を向いて力を込めた。「国会に行って仕事をしたくてしょうがなかった。皆さんからバッジという尊い、重い武器を与えていただき、本当にありがとうございました」。

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