2021/10/30 18:00

「衆院選とくしまのミカタ」(9)徳島2区で9年ぶり 自民VS野党第1党

 徳島2区には今回、旧民主系の候補が立ちました。2012年以来9年ぶりとなる野党第1党の候補とあって、11期目を目指す自民前職は警戒を強めています。どんな戦いを繰り広げているのか。キャップ、情勢は。

後輩記者) 
 徳島2区(鳴門市、吉野川市、阿波市、美馬市、三好市、板野郡、美馬郡、三好郡)はどうなっていますか。

坂田キャップ)
 
立憲民主新人の中野真由美氏、共産新人の久保孝之氏、自民前職の山口俊一氏が立候補しているよ。(届け出順)

後輩記者)
 旧民主系の候補が出馬するのは久しぶりですね。中野氏はどんな人ですか。

坂田キャップ)
 高松商業高を卒業し、結婚を機に北島町に移住。福祉施設職員を経て、2018年の北島町議補選で初当選して町議会初の女性議員になったよ。国政選挙に出馬するのは初めてだね。ことし3月に記者会見し、男女の所得格差やジェンダー・ギャップの解消などを訴えたよ。

出馬会見する中野氏=3月

後輩記者)
 立民が中野氏を擁立した背景は。

坂田キャップ)
 民主党が政権交代を果たした2009年の衆院選で、旧徳島2区では民主の高井美穂氏(現・三好市長)が自民の山口氏に勝利した。だけど12年選挙で落選し、14、17年選挙では旧民主系は徳島2区に候補を立てることすらできなかった。今回、立民は空白区を解消しようと、中野氏を立てたんだ。

後輩記者)
 全国では自公政権に対抗するため、野党共闘を実現させています。徳島2区はどうですか。

坂田キャップ)
 徳島では、「オール徳島」という市民団体がこれまでの国政選挙で野党共闘を取り持ってきたよ。オール徳島は、自民党候補に勝てる可能性が高い徳島1区で共闘の調整を進めてきた経緯がある。だから、共産党は1区を避けて2区に絞って候補を擁立した。出馬を表明したのは、中野氏より1年も早い2020年3月だったよ。

後輩記者)
 
徳島2区では、そもそも積極的に共闘を目指していなかったんですね。

坂田キャップ)
 立民と共産の地方組織の間では調整がつかず、中央に判断を任せていたんだ。それで最終的に一本化は実現しなかったというわけなんだ。

街頭で支持を訴える久保氏=10月23日

後輩記者)
 9年ぶりの野党第1党からの候補を、自民の山口氏はどう感じていますか。

坂田キャップ)
 山口氏は2009年の衆院選で高井氏に敗れたことがあり、旧民主系の女性候補を警戒しているよ。9月の事務所開きであいさつした山口氏は「久々に野党第1党から公認候補が出てきた。しかも女性候補。かつて私は女性候補を相手に苦労してきた。気を引き締めて取り組む」と危機感を抱いていた。

後輩記者)
 何か手を打ってきたんですか。

坂田キャップ)
 
山口氏は、7月の三好市長選で高井氏の支援に回ったんだ。

後輩記者)
 
えっ、高井氏はかつてのライバルですよね。

坂田キャップ)
 そう。高井氏の支持者に多い非自民勢力の動きを抑えたいとの考えがあったとみられる。高井氏にとっても、党派を超えた市議の支持が市政運営に欠かせないとの思いがあったようだ。両者はかつて衆院選で5度にわたって議席を争った敵同士。そんな2人が衆院選と市長選の二つの選挙を巡り、思惑が一致したようだ。

三好市長選に立候補した高井氏(左)の応援に駆け付けた山口氏(右)。市長選は高井氏が当選した=7月

後輩記者)
 
中野陣営は、山口氏にどう挑んでいますか。

坂田キャップ)
 山口氏は強固な地盤を持つベテランで、陣営幹部は「巨象に挑むようだ」と例えていたよ。それでも、立民県連は事務所を吉野川市の中野事務所に移し、総力を挙げて戦っている。9月下旬には立民の泉健太政調会長も来県し、「徳島2区に素晴らしい候補が誕生した」と中野氏を激励したよ。

後輩記者)
 中野氏の主な訴えは何ですか。

坂田キャップ)
 中野氏は3人の子どもがいて、成長段階に合わせて働き方を変えてきたと言っている。非正規や派遣労働も経験していて、働きながら子育てする女性たちの手厚いサポートや待遇の改善を訴えているよ。

後輩記者)
 
選挙戦の情勢はどうですか。

坂田キャップ)
 公明党の推薦も受ける山口氏が保守票を手堅くまとめ、知名度で劣る中野氏が追う展開になっている。中野氏は各地で街頭演説を繰り返し、懸命に支持を呼び掛けている。久保氏も浸透を図っているよ。

街頭演説する中野氏

 

久保氏(中)の応援に駆け付けた共産の小池晃書記局長(左)

 

出陣席で支持者と拳を合わせる山口氏

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