1区に維新候補 比例議席奪還に照準【断面21衆院選とくしま】
衆院選徳島1区に、日本維新の会が国政選挙の県内選挙区では初の公認候補となる新人の吉田知代氏を擁立し、「第三極」の立場を前面に出して票の掘り起こしを図っている。比例票の上積みにも努めており、比例四国ブロック(定数6)で2014年衆院選以来の議席獲得をうかがう。激しく競り合う無所属元職の仁木博文氏と自民前職の後藤田正純氏の戦いにも影響を与える可能性がある。
「21議席以上になれば単独で国会に法案を出せる。自民ではできない、立憲民主と共産は想像もしない改革をやる」。22日、徳島駅前で馬場伸幸幹事長は、第三極の維新が国会で存在感を示すことで与党に緊張感が生まれると訴えた。新型コロナウイルス対応や「政治とカネ」の問題などで自民に逆風が吹く中、自民との対決姿勢を鮮明にし、共産と連携する立民にも拒否感を示す有権者の受け皿を狙う。
維新は今回、解散前の11議席を倍増させる目標を掲げる。17年の前回衆院選では小選挙区と比例で計52人の擁立にとどまったが、今回は小選挙区94人を含む計96人を立てた。県内での候補擁立も全国政党化を目指す戦略の一環だ。
四国では比例での議席奪還を目指す。比例四国は維新の党など前身の組織が12年の衆院選で2議席、14年は1議席を獲得した。だが17年の前回は1議席も奪えなかった。今回、徳島1区に祖父母が徳島市出身の吉田氏を送り込み、香川1区にも新人を立てた。
23~26日に徳島新聞と共同通信が実施した電話世論調査では、比例四国の最後の6議席目を他党と争っている。議席を獲得すれば、吉田氏は選挙区での得票によって復活当選の可能性がある。
維新は17年の前回衆院選で、1区内の12市町村から1万903票の比例票を獲得している。維新候補と初めて戦う他陣営も「後藤田、仁木両氏の票の一部は流れる」(後藤田陣営幹部)、「野党票が割れる可能性がある」(仁木氏)と動向を注視する。
電話世論調査では、吉田氏は維新支持層の3分の1ほどしか固めきれておらず、他は後藤田氏よりも仁木氏に多く流れていた。一方で、自民支持層や無党派層から比較的支持があった。維新の戦いが、1区の情勢をより複雑にしている。