山で街で最後の票固め【2021衆院選とくしま 選挙区ルポ】2区

衆院選徳島2区に立候補した3人は、31日の投開票に向け、最後の票固めに余念がない。(敬称略)
立候補者〈届け出順〉
中野 真由美50 立民新
久保 孝之 58 共産新
山口 俊一 71 自民前
山口、野党第1党の力を警戒
27日午前、山口はつるぎ町の山間部や街中を町長の兼西茂や県議の南恒生らの案内で回っていた。「安定した政権をつくり、難しい時代を乗り切りたい」。新型コロナウイルス対策や疲弊した経済の立て直しを訴え、地元企業の関係者や高齢者らに頭を下げた。
選挙区内全12市町の首長と県議11人の支持を受け、公明党とも連携。組織力を生かした戦いぶりは11選を目指す今回も変わらない。
自民党公認を巡る1区候補・後藤田正純と、自身が会長を務めていた党県連の内紛などの影響を懸念する声はある。陣営幹部は、後藤田を支持する首長が山口の出陣式に出席したことを挙げ、「今は(関係が)普通になっている」と強調。後藤田に近い兼西は「保守票を固めるため全面的に協力している」と言う。
陣営が警戒するのは、2012年以来となる野党第1党候補との戦いだ。旧民主党が政権交代を果たした09年の衆院選は同党候補に1万6860票差をつけられた。「(野党第1党は)実力と底力があり、気を抜けない」(陣営幹部)。26日からは松茂町の事務所近くの交差点で毎朝、鉢巻きを締めたスタッフがドライバーに手を振ってPRしている。
中野、与党批判票の獲得狙う
「今回の選挙は現政権に『ノー』と言うチャンス。日本の未来を託してください」
26日、吉野川市や阿波市の幹線道路沿いに立った中野が声を張り上げた。女性の国会議員や大臣の少なさなど男女格差の是正が進まない現状を挙げ、「2区唯一の女性候補」をアピール。2区では久々となる旧民主系候補として、政権批判票の取り込みを狙う。
国政選挙は初めての出馬。知名度不足をカバーしようと積極的につじ立ちを重ねる。旧3区では、自民党県連の内紛を受け、一部の自民支持者からも応援されているという。
中野は「支援の輪を広げられるよう、一票一票を積み重ねたい」とラストスパートを見据えた。
久保、街頭演説で浸透を図る
街頭演説を中心に、浸透を図る久保。「1人でも多くの人に訴えを聞いてもらい、自公政権に代わる政治を実現したい」。1日当たりの演説回数が30回を超える日もある。
28日は鳴門市大麻町の住宅地で、野党4党で共通政策に合意している点をアピール。「新しい政権を支える共産党を国会に送り出してください」と訴えた。