2021/10/29 05:00

最終盤、票上積みへ攻防【2021衆院選とくしま 選挙区ルポ】1区

応援弁士を迎えて街頭演説する候補者(左)=徳島駅前(画像の一部を加工しています)

 衆院選は31日の投開票まであと2日となり、徳島県内2小選挙区に立候補した7人の舌戦は激しさを増している。終盤の攻防を追った。(敬称略)

立候補者〈届け出順〉

 仁木 博文 55 無所属元
 後藤田正純 52 自民前
 吉田 知代 46 維新新
 佐藤 行俊 73 無所属新

 

仁木、後藤田の組織力警戒

 「強かった相手候補(後藤田)と今は横一線。どうか国会で仕事をさせてほしい」。27日午後、トレードマークの白衣姿で徳島市不動西町の田園地帯に立った仁木。医師として新型コロナウイルス対策に取り組む決意を述べた上で、こう訴えた。この日、一部報道で「仁木氏やや先行」との世論調査結果が報じられた。

 7度目の出馬。初めて無所属で挑む今回は複数の野党が仁木支援に動く。22日に共産党の小池晃書記局長、26日には国民民主党の玉木雄一郎代表が、比例四国の投票呼び掛けなどで来県したのに合わせて仁木への投票を訴えた。25日は、推薦を見送った立憲民主党からも、北島町出身の吉川沙織参院議員が個人的に応援に駆け付けた。

 後藤田と自民党県連の対立を背景に、保守層に浸透している手応えもある。一方で、後藤田の組織力に対する警戒は強い。当時所属していた民主党が政権を獲得した2009年の衆院選では、世論調査で先行が伝えられながら1222票差で敗れた苦い経験があるからだ。この時は比例で復活当選したが、今回はない。

 仁木は26日まで事務所で行っていたコロナワクチン接種を終え、遊説に専念できる環境を整えた。陣営は大票田の徳島市を主戦場と位置付け、票の掘り起こしを図る。「強みであるコロナ対策を中心に全力で訴え、何としても勝つ」。悲願の小選挙区当選に向け、陣営の総力を結集する。

 

後藤田、政権選択訴えに軸足

 26日正午前、徳島駅前で元経産相の梶山弘志と並んだ後藤田は、マイクを握ると危機感を訴えた。「徳島が政権与党としっかりつながるのか、共産党が支援する野党候補と後退していくのか。その選択だ」。県内での新型コロナ対策や道路整備など与党の実績を強調し、支持を呼び掛けた。

 後藤田は自身の党公認を巡る自民県連との内紛を受け、県政改革を大きな争点と位置付けて公示前から盛んに訴えてきた。しかし、選挙戦中盤以降は政権選択の重要性などの説明に多くの時間を割くようになった。陣営幹部は変化の理由について、「選挙区を回る中で、その方が有権者に届くと感じたようだ」と言う。

 コロナ禍で以前のように多くの支持者を集めた集会は開けない。県連との対立で、運動に県議の協力を得られない地域もある。選挙のたびに徳島入りし、応援してきた妻で女優の水野真紀は今回、一度も同行していない。それでも市町長や議員、支援者中心の強固な組織は健在だ。選挙カーで各地をくまなく回り、保守票固めや無党派層の取り込みを狙う。

 厳しい情勢を受け、20日に小野寺五典元防衛相、24日には所属する石破派の石破茂元幹事長が相次いで来県し、後藤田や与党の実績をアピールした。陣営幹部は「ムードは日増しに高まっている。接戦なら必ず勝つという強い思いで、最終日まで政策を訴え続ける」と力を込めた。

 

吉田、比例視野に「維新」連呼

 吉田は27日夕、徳島駅前でマイクを握った。「どうか日本維新の会の改革を、ここ徳島でも実行させてほしい」。知名度不足を補おうと、連日、徳島市の量販店前など10カ所以上で演説。重点政策のコロナ対策や子育て・介護支援を訴え、自身の名前や党名の浸透を図ってきた。

 中盤戦からは比例での当選の可能性も視野に入れ、「比例も維新へ」との呼び掛けを強めている。今後は大票田の徳島、小松島、阿南3市や石井町を中心にアピールする。陣営関係者は「有権者の反応は日々良くなっている。厳しい戦いだが、全力で当選を勝ち取りたい」と述べた。

 

佐藤、スローガン掲げ浸透図る

 佐藤は天皇制廃止を訴えるスローガンを書いた掲示板を体などに着けて石井町の自宅と徳島駅の間を自転車で走っているほか、徳島駅前でビラを配ったり、手を振ったりして浸透を図っている。

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