共産、比例に軸足 選挙区難しい戦い【断面21衆院選とくしま】
公示後の22日、共産党の公認候補がいない徳島1区の徳島駅前に、小池晃書記局長の姿があった。「比例は『何より命』とぶれずに貫く共産党。ぜひ支持を広げていただきたい」。小池氏は開口一番、比例での支持を訴え、その後に徳島2区で公認する久保孝之氏への支援も呼び掛けた。
軸足を置くのは比例四国での議席獲得だ。2003年に失って以来、比例候補の白川よう子氏=つるぎ町出身=による18年ぶりの奪還を目指す。
共産はこれまで選挙区と比例候補が連動し、比例票を積み上げる戦略を取ってきたが、1区は野党共闘を見据えて20年3月、早々に公認候補擁立を見送ると決めた。1区に候補を立てないのは現行の小選挙区制度が導入された1996年以降初めて。「過去の得票数を見ると野党が共闘すれば自民候補に勝てる。だが今の県委員会に勝てる候補を擁立できる力がない」。上村秀明県委員長は擁立を見送った理由を説明する。
共産は立憲民主、社民、れいわ新選組の野党3党と共通政策に合意し、各党は全国210余りの選挙区で候補を一本化した。四国は11選挙区のうち共産が公認候補を立てたのは4選挙区にとどまり、17年の前回衆院選から半分になった。党県委員会の幹部は「自民政治をこれ以上続けさせるわけにはいかないという思いで一致団結している」と強調する。
ただ、小選挙区での候補の減少は比例票も減らす恐れをはらむ。選挙区に候補がいないことで選挙活動が制限され、他党に埋没しかねない。このため、2区では立民が公認候補として中野真由美氏を擁立し、久保氏と競合したものの、候補の調整は行わなかった。
1区での共闘候補選定が難航したことも選挙活動に影響している。最終的に共闘を取り持つ市民団体「オール徳島」と無所属元職の仁木博文氏が政策協定を結び、共産が推す態勢は整った一方で、立民県連が参加せず野党各党による調印は実現しなかった。
上村委員長は、立民が推薦していない中で共産が単独で推薦すれば保守層に敬遠される懸念があるとし、「仁木さんを応援する多様な組織の一つとして支える。保守層に敬遠されないよう工夫していく」と話す。気を配りながらの対応に腐心している。
支持者にも戸惑いがあるようだ。徳島新聞が23~26日に行った電話世論調査では、共産支持層のうち比例の投票先をまだ決めていないと答えた人は、1区で3割を超え、2割弱だった2区を大きく上回った。
前回衆院選での県内の比例の得票は2万1354票と、14年の前々回より9千票近く減らした。野党共闘を進める中で、どれだけ存在感を示せるのか。党の力量が問われている。