2021/10/25 14:30

「語るのは『わが選挙区の発展』ばかりだけど…」 子育て中の親から見た国と地方の選挙  

吉本さん(右)と黒川さん=阿南市柳島町の「べんざいてんサドベリースクール」

 31日投開票の衆院選の2週間後には阿南市議選の投開票日がある。この市議選に向けて、若い世代の投票率を上げたいとアイデアを出し合っているのが同市に住む吉本真菜実さん(37)=フリースクール運営=と黒川喜美恵さん(49)=農業、パン屋経営=の2人。衆院選と市議選、二つの選挙について語り合ってもらった。


吉本真菜実さん (37)=写真右 中学校教諭を経て、今年4月にスタッフ2人で運営するフリースクール「べんざいてんサドベリースクール」を開設。4歳、6歳、小2の3人の子どもの母

黒川喜美恵さん(49)=写真左 横浜市出身。東日本大震災を受けて2012年、阿南市に移住。農業とパン屋を営む。小5、高2の2人の子どもの母


―衆院選の投開票日が近づいています。

吉本さん 国政の場合、議員が遠いですね。何をしているかが私たちから見えにくい。不思議なのが、立候補者はみんな「徳島のために」と言うこと。国会議員は「日本のために働く人」ですよね。「わが選挙区の発展」のことばかり語るけど、それってどうなん? 「日本のため」を思ってほしい。今の子どもたちに何が残せるかを聞きたい。よりよい未来を残してくれる人に投票したいと思います。

黒川さん 今、話を聞いていて、「(地元の)国会議員は国からお金を取ってくる人」だというイメージがあったけど、「そうか、そうじゃないのか!」と思いました。その視点はなかったので新鮮。確かに、「全体のために何ができるか」が仕事だよね。 

吉本さん 例えば私は鳥取県ってすごくいいと思ってるんですね。「子育て立県鳥取」を打ち出していて。でも、それは平井伸治知事の仕事の成果だと思う。国会議員の場合は、北海道から沖縄のために、何ができるのかを聞きたい。日本全体が良くなる方法を見せてほしい。徳島の人にとって耳障りのいいことばっかりじゃなくて。

 こういう傾向は市議選についても同じで。選挙を集落ごとに考えてますよね。一つの集落で代表である議員を出して、議員はそこの人たちのために働く、と。みんな「集落の発展」しか見ていない。ういうのを見せていると、若い人たちは「もう選挙はいいかな」と思ってしまうんじゃないかな。

―若い人は、子ども時代から何かを「決める」経験をあまりしていないんじゃないですか。校則もただただ、守るものだと教えられている場合が多い。

吉本さん 子どもが「決める」という機会がありませんよね。私も中学校教諭をしていたので、学校のことは分かります。最初はそれが普通だと思っていましたが、今はおかしいな、と。東京都千代田区立の麹町中学校は前校長・工藤勇一さんによる学校改革で知られます。そこでは、子どもたちが学校の第三者機関に加わっていて、子どもたちが決める。子どもたちは「早く大人になりたい」と言うんですね。 

 選挙になると、「組織票」ってありますよね。職場で「この人に入れて」と言われて、それに従う。なんで「自分で考える」ってことをしないの、と思っちゃいます。それって教育の結果、つまり「上に従うのがいいんだ」と教えて、考える力を奪ってきた結果なんじゃないかと思います。

―どうしたら若い人の投票率は上がるでしょう。

黒川さん 高校生が部活の帰りに、みんなで投票に行く雰囲気になればいいですね。行くつもりがなくても、誘い合ったら行くんじゃないかな。「よく分からないから投票しない」じゃなくて、とにかく投票する。そのくらいのノリで、投票する若い人が増えてほしい。学校ではぜひ、「投票に行こう。投票所入場券がなくても投票できる」って呼び掛けてほしい。入場券がなくても投票できるってことも、知られてないですよね。

吉本さん 投票所は暗い雰囲気ですよね。静かだし、入りにくい。なんか、入ったらみんなに注目されるし(笑)。音楽を流して、楽しい雰囲気にできないんでしょうか。期日前投票の方がまだ、行きやすい雰囲気ですよね。

黒川さん 私は子どもの頃から親が投票に行くときに連れて行かれていたので、投票は「当たり前のもの」だと思っていた。私もいつも子どもを投票に連れて行っていたので、子どもは「投票に行く」と言うけれど、同時に「でもあの雰囲気じゃあ、行かない人も多いと思うよ」と。どんな投票所だったらいいか、考えてみてもいいかもしれない。

 18歳になると当然のように選挙権が手にできるから、「重み」がないんでしょうか。でも、17歳がいくら「この人に入れたい」と思っても、投票権はない。18歳になるとある。その重みを感じてほしい。

―特に女性は戦後になって選挙権を獲得したという歴史があります。そこに改めて思いをはせたい。

吉本さん 私は「男だから」「女だから」なんてあんまり思わない、性別に注目して人を見ない方です。それでもやはり、議員は高齢男性が多いと思う。これが投票率の低さにつながっているし、いろんな人が立候補するハードルにもなっていると思います。いろんな人が議員になっているのが見えると、自分も出てみようかな、と思えるんじゃないかな。

黒川さん 選挙に関係ない人はいないのに、いろんな理由で「遠いもの」と思わされていると思う。「行こうよ」と誘い合える選挙にしたいなと思っています。

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