支持拡大図る候補者を紹介 徳島1区【2021衆院選とくしま 戦う顔】(上から届け出順)
19日公示された衆院選では、徳島1区と2区に計7人が立候補している。31日の投開票に向け、懸命に支持拡大を図る候補者の横顔を選挙区ごとに紹介する。
仁木博文さん(55)無所属・元 コロナよく知る医師
県内で新型コロナウイルスの感染が拡大する中、医師として治療やワクチン接種に奔走した。医療逼迫(ひっぱく)やワクチン供給を巡る混乱を目の当たりにし、仕事を失った人らの声を聞いて医師の限界を痛感。「コロナという敵をよく知る自分が徳島のために働かなければ」。7度目の出馬を決めた。
コロナ対策では、国産ワクチンと治療薬の開発推進や、5年間限定での消費税率の5%への引き下げを提言。ワクチン治験病棟や健康関連産業の県内集積、道路整備を通じて雇用を創出し、若者定着を目指す。前回衆院議員を務めた際に妊婦健診無料化などに取り組んだ経験から「必ずやり遂げる」と自信をのぞかせる。
議席を失って約9年。妻は当初、今回の挑戦に反対していた。しかし、感染症対策に懸ける熱意を理解してくれたという。
座右の銘は「一期一会」。診療と選挙活動の両立で多忙な中、「人と会って話すことが一番の癒やしになっている」と語る。
後藤田正純さん(52)自民・前 「県政の刷新」掲げる
「徳島の安心と県政の刷新」をテーマに掲げる。歯に衣(きぬ)着せぬ発言で反発を招くこともあるが、徳島の課題を解決し、潜在能力を生かすために議論が必要だと訴える。「今回の選挙は言論封殺への挑戦でもある」
トップの顔色をうかがい、自己保身に走るのを嫌う。「政治家は県民、国民に顔を向けるべきだ」。自民党本部が自身を公認した後、党県連が「自主投票」の方針を決めたことには「党員不在で前代未聞だ」と厳しく批判する。
新型コロナウイルスの影響で疲弊する経済や雇用の立て直しを主張。徳島の観光産業・農林漁業の振興も唱える。国土交通省関係の県内の直轄事業費を8年間で倍増させたと強調。「政権のど真ん中で結果を出している」と自負する。
高校1年の長男には常に「正直、公平公正であれ」と諭す。衆院解散の前夜、長男に足をマッサージされて「頑張ってよ」と激励された。「信念を曲げず、悔いのない戦いをしたい」。
吉田知代さん(46)維新・新 女性や子ども目線で
長男出産後、保育施設に空きがなく働けなかった経験から女性が活躍できる社会の実現を志し、2016年から兵庫県篠山市(現丹波篠山市)の市議を5年5カ月務めた。
コロナ禍で見落とされがちな女性や子どもの貧困問題などに取り組みたい。そんな思いで祖父母の古里徳島市を含む1区からの出馬を決めた。
重点政策に掲げるのは、国産コロナワクチンと治療薬の研究開発支援や、子どもの塾代の助成、介護報酬の抜本的底上げなど。徳島の観光振興では「阿波踊りや藍染、スダチ、サツマイモといった特産品の魅力をもっとPRしたい」。
亡き父と眉山を登ったのが思い出深い。「山頂から見た風景が美しかった」。11年前に離婚。仕事との両立に苦労しながら育てた長男は高校2年になり、政治活動を応援してくれている。「息子がいるから頑張れる。女性や子どもの目線で親しみやすい政治を目指す」と力を込めた。
佐藤行俊さん(73)無所属・新 天皇制廃止訴え39年
39年間、天皇制廃止を訴えるメッセージのプラカードを身に着け、スカートをはいて石井町の自宅から徳島市内まで自転車を走らせる。独特の身なりから、「天皇イランおじさん」として知られる。
天皇制について「差別の原因になっている。人は平等であるべきだ」と言い切る。「軍備があるから戦争が起きる」と自衛隊の廃止も主張。自身の思想を実現するため、憲法改正の必要性を強調する。
高校生の時、天皇制の在り方を問う本を読み、廃止論者となった。自説を報道各社に投稿するも採用されず、自ら世論に訴え始めた。石井町議選、町長選に立候補したこともある。周囲が反対しても「自分が正しいと思ったことを実行するだけ」とぶれない。
食事は全て自炊という倹約家。韓国と中国のテレビドラマを見るのが心休まるひとときだ。「選挙で忙しくて最近はご無沙汰だけど、すごく面白くてね」と笑った。