2021/10/12 19:00

徳島県の10代投票率が低いって本当? 生活への影響は?

Q.「10代の投票率が低い」とよく聞きますが、実際どうなのでしょうか。若者の投票率が低いと、政治や普段の生活に影響があるのですか。

A.2015年に公職選挙法が改正され、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられた。施行後初の国政選挙となった16年の参院選では、徳島県内の18・19歳の投票率は36.01%。高知県(30.93%)、宮崎県(33.61%)、愛媛県(35.78%)に次いで低く、下から4番目だった(総務省まとめ)。17年の衆院選では、31.59%と全国で最も低く、他の年代を含めた全体の投票率も46.47%と最下位だった。

2016年参院選の10代投票率。都道府県別で投票率ワースト5県とベスト2都県を表にまとめた
 
2017年衆院選の10代の投票率。徳島は全国で最も低かった。


 10代の投票率の低さについて、徳島県選挙管理委員会は「不在者投票」制度を知らないことが関係しているとみている。投票率は参院選で18歳が41.20%、19歳が30.70%、衆院選では18歳が41.61%、19歳が21.69%と、どちらも19歳の方が大幅に低い。高校を卒業後、進学や就職で県外に出る10代は少なくない。県選管事務局の片岡敬視係長は「投票率が低いはっきりとした要因は分からないが、住民票を移さずに県外に出る人は多い。不在者投票の制度を知らずに投票しなかったケースもあるのではないか」と推察する。参院選では徳島と高知が合区となったことも投票率に響いているとみる。「普段目にしない人が立候補者となり、興味が薄れてしまったのではないか」

模擬投票を体験する生徒=吉野川市鴨島町の吉野川高校
 

 投票に行ったことがあるという学生に理由を聞くと、「18歳の時は『よく分かっていないのに行っていいのかな』という不安があった。20歳になって家族に勧められたこともあり、『大人だから行くべきかな』と思って投票した」(大学4年生)、「候補者の情報や政策などは調べずに、ただ若者の投票率を上げたいと考えて投票した」(大学3年生)と説明する人もいた。「投票には行く」としながらも、「議員は年配の人ばかり。誰に入れても変わらない」と話す高校3年生もいた。

日本財団が8月に実施した国政選挙に関する調査結果
 

 日本財団が10月末までに誕生日を迎える17~19歳の男女916人を対象に8月に行ったインターネット調査では、次期衆院選で「投票する」「たぶん投票する」と回答したのは全体の55.2%。「投票しない」「たぶん投票しない」は22.3%、「どちらともいえない」は22.5%だった。投票する理由(選択式、最大3つ回答)は「国民の権利であるから」(55.5%)、「国民の義務であるから」(46.4%)、「選挙結果が自分自身に影響するから」(20.9%)、「学校の授業などで政治や選挙について学んだから」(18.0%)の順に回答が多かった。投票しない理由は「面倒だから」が51.0%と最も多く、「忙しい、時間がないから」が22.5%、「投票の仕方を知らない、分からないから」が16.2%、「政治に関心がないから」が14.7%だった。

投票の意義を説明する西村特命教授
 

 主権者教育に詳しい鳴門教育大大学院の西村公孝特命教授は「若い人たちの多くは年金や労働の問題など切実に迫ってくる課題がなく、自分事の世界で満足している。今の世代は自分が興味のないことは見ず、情報を“偏食”しているともいわれてる。選挙は人ごとなのかもしれない」と推察する。若年層が投票に行かないデメリットとして、「どの年代がどの政策に注目しているかについては、30代は子育て支援にお金を使っているかを重視し、年金労働分野に注目するのは年寄りの人が多いなどというデータが出ている。そうなると、投票に行く割合が高い高齢者層のための政策が優先されるシルバー民主主義に偏ってくる」と問題点を指摘。「今、若い人が考えないと、未来の徳島はどうなるか分からない。いつまでも傍観者で『自分以外の人が未来の徳島をつくってくれる』と思ってはいけない。主権者は自分という意識で、積極的に政治に参加してほしい」と呼び掛ける。

 
大学生も交えて行われた選挙ポスター作品の審査会=県庁

 県選管は若者の投票率アップを目指し、大学生や高校生らに選挙の仕組みなどを教える出前講座を開いたり、学園祭で啓発キャンペーンを開催したりしている。また、幼い頃から興味を持ってもらおうと、20年3月に親子向け啓発絵本「さとしくんのいっぴょう」を制作したほか、今年は鳴門教育大の学生の協力を得て読み聞かせ動画を作った。
 19年度からは、小中高校生が応募する選挙啓発ポスターコンクールの審査員に大学生を加えている。21年9月27日に行われた作品審査会には県内の大学生3人が参加した。四国大3年の粟飯原稜さん(21)は「時間がない、面倒くさい、興味がないという理由で投票に行かない人がいる。選挙に関する情報に触れる機会が増えれば興味が出てくるかもしれない」と話した。

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