2021/10/08 05:00

飯泉知事不出馬・維新候補擁立... 徳島1区の情勢混沌 各陣営「保守票」動向読めず【2021衆院選とくしま】

 衆院選の公示(19日)まで2週間を切った。出馬が有力視されていた徳島県の飯泉嘉門知事の不出馬表明や日本維新の会の候補擁立など、徳島1区を巡る状況は9月下旬以降、大きく変動した。自民党県連は10月6日、現職の公認申請見送りを改めて確認した。各陣営は影響を読みかねており、情勢は混沌(こんとん)としている。

 1区には自民党現職の後藤田正純、日本維新の会新人の吉田知代、無所属元職の仁木博文の3氏が立候補を予定している。

 「飯泉氏の支持層は保守系が多い」と後藤田陣営の関係者は知事の不出馬を好材料とみる。元自民党県議との保守分裂選挙となった2019年の知事選では、徳島新聞社と共同通信社が実施した出口調査によると、自民支持層の約6割、公明支持層の約8割が飯泉知事に投票している。

 ただ、知事の擁立を目指してきた自民党県議と後藤田氏との溝は深い。保守系の票がどこまで集められるかは不透明で、陣営関係者は「詳細な分析は難しい。影響を見極めて戦い方を考えたい」と慎重だ。

 仁木陣営は、飯泉知事の支援者は後藤田氏に対して不満を抱いているとみて、取り込みに期待する。陣営幹部は「このまま現職を当選させていいのかという思いは飯泉氏の支持者と同じ。(知事が不出馬を表明した)10月1日以降、保守層からも仁木氏を支持するという声が大きくなった」と手応えを感じている。

 公明党の動向も注目される。自民県連は6日の常任総務会で、徳島2区の現職山口俊一衆院議員のみ党本部に公認申請すると決め、山口氏への推薦依頼を公明党県本部に出した。

 これまで選挙区と比例で支援し合う「バーター協力」を続けてきた公明党県本部の関係者は「今回は2区のみの依頼で少し戸惑いはある。比例代表の議席を守るために何が最善か、これまでの関係も踏まえて今後の協議で対応を決める」と話した。

 一方、吉田氏の出馬が情勢をさらに複雑にしている。維新が衆院選で県内小選挙区に候補者を立てるのは初めて。維新は17年の前回衆院選の比例で1区内の12市町村から1万903票を獲得している。

 吉田氏の陣営関係者は「維新の支持者は、後藤田氏の支持者と重なる部分が大きい。仁木氏より後藤田氏が影響を受けるのではないか」と分析する。

 後藤田氏の陣営は、吉田氏が保守的な主張をするか野党の立場を強調するかで有権者の動きが変わるとみており、「(仁木氏と)どちらにより大きな影響があるか、まだはっきりとは見通せない」。仁木氏の陣営は「野党票が分散する恐れがある」と危機感をにじませた。(政経部取材班)

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