「政治家が話す言葉が難しい。だから選挙は分からない」現役高校生の前田温斗さん(18)と冨士谷望侑菜さん(18)

改正公職選挙法が2016年に施行され、それまで20歳以上とされてきた選挙権年齢が18歳以上に引き下げられた。しかし、10代の投票率は全国的に低迷している。特に徳島県では2017年10月の前回衆院選での投票率(小選挙区)が31・59%にとどまり、全国最低だった。今の若者たちは選挙や政治、暮らしている徳島についてどんな考えや思いを持っているのか。生光学園高3年の前田温斗(はると)さんと、城西高3年の冨士谷望侑菜(みゆな)さん=いずれも(18)=がインタビューに応じてくれた。
―まずは、これまで力を入れてきた活動や、趣味を教えてください。
冨士谷 小学6年から阿波踊りをしていますが、新型コロナウイルスの影響で2年くらいしていません。中学時代はソフトボール部に所属していました。高校に入ってからは帰宅部で、学校帰りにスターバックスコーヒーでおしゃべりするのが楽しい。ほぼ毎日、猫カフェでアルバイトをしています。あとは、2年前に生まれた弟がすごくかわいいんです。
前田 コンビニでバイトをしていて、趣味は筋トレです。小学5年から中学1年まではバスケットボールをしていました。漫画も好きでよく読んでいます。
―徳島ってどんなところだと感じていますか。問題だと思うところはありますか。また、徳島での進学や就職を考えていますか。
前田 遊ぶ所がないし、活気がない。公共交通機関も発達していない。もっと勉強スペースやバーなど人が交流できる場所を増やしてほしい。県外の人が徳島に行きたいと思えるようなイベントや場所が必要だと思います。阿波踊りアイドルとかを育成してファンを増やしていくのもいいかもしれません。とにかく目立つことが大事だと思います。
将来は1級建築士になりたいんです。県内の大学に進学しようと思っています。就職も県内でして、都会のようなおしゃれな店やビルを建てたい。そうすれば徳島も変わってくると思ってます。
―冨士谷さんはどうですか。
冨士谷 徳島には若者が遊べる所がないし、インスタ映えするような場所もないですね。淡路島には建物やオブジェ、カフェとかおしゃれな所が多い。もっと徳島も流行に敏感になったり、ほかの地域のまねをしたりした方がいいと思います。公共交通機関も不便ですね。高校まで10キロ近くある距離を毎日、自転車で通っています。
将来は看護師と助産師の資格を取得したい。子どもが好きだし、中2のときにドラマ「コウノトリ」を見てから憧れている職業です。NICU(新生児集中治療室)を担当したい。進学も就職も県内を考えています。県外の病院で勤務してプライベートも仕事も充実させたいという思いもありますが、弟と離れたくないなと思って。
―日本の社会について「変だな」と思ったことはありますか。
冨士谷 弟が1歳の時に保育園の入園申請をしましたが、入れませんでした。2歳になってやっと第4希望の保育園に入れたのですが、それまでお母さんは仕事にも行けず、弟の世話で大変でした。おむつ換えなどは私とお父さんが交代でして、お母さんの負担を少しでも減らそうとしていました。保育士は仕事が大変な割に、給与が低いと聞きました。給与がもっと高いと、目指す人も増えると思います。政府がサポートしてほしい。
前田 税金の使い方がおかしいと感じています。少子化に歯止めをかけるために、まずは子どもを産み育てやすい環境をつくってほしい。オリンピックにあれだけのお金をかけている場合ではないですよね。
―今回が初めての投票ですね。「選挙」ってどんなものに映っていますか。
冨士谷 学校では政治経済の授業もありましたし、模擬投票もしましたが、いまいち分かりません。なかなか興味も湧かない。でも、「知らないまま」で投票しても意味がないので、投票に向けていろいろ調べてみようかな、と。子育て支援に熱心な人がいたらいいですね。
前田 実は最近まで、18歳から選挙に行けるなんて知りませんでした。正直、投票しても世の中、変わらないんじゃ、と思っているところもあります。政治家って信用されていませんよね。(政治家が話す)言葉も難しく、だから「選挙は難しいもの」とも思ってしまう。もっと僕たちが分かる言葉で話してくれたら、若い人も興味を持つんじゃないかとも考えます。
いろいろ思うところはありますが、この機会に大人の世界に踏み込んでみようと思います。
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