2021/10/05 05:00

衆院選投開票前倒し 現職陣営「準備は順調」 新人陣営「時間がない」

ポスターなどの準備を進める陣営関係者=吉野川市内の事務所(画像の一部を加工しています)

 岸田文雄首相が衆院選の日程を「19日公示、31日投開票」と表明した4日、徳島1区と2区に立候補を予定している現職の陣営は「戦いの準備はできている」と冷静に受け止めた。11月7日投開票の可能性が報じられていただけに、準備期間が短くなった新人陣営は「時間が足りない」と焦りの色を強めた。 

 1区の自民現職後藤田正純氏の陣営幹部は「想定より早いが、常在戦場の心構えで活動しており、準備は整っている」と話した。新型コロナウイルス感染を防ぐ上でも、活動期間は短い方がいいとの考えで「(投開票まで)残り3週間余りしかないが、全力で政策を訴えて有権者に判断してもらうだけだ」。

 2区の自民現職山口俊一氏の後援会事務所幹部にはこの日午後、本人から電話で「1週間前倒しになりそうだ。準備を粛々と進めるように」との指示があった。この幹部は「首相が日程を早めたのは補正予算の編成を急ぐためだろう。陣営として必要な作業は順調にこなしており、多少早まっても心配ない」と話した。

 11月7日の投開票を想定して準備を進めていた陣営は驚きを隠せない。

 立憲民主新人として2区から出馬を予定する中野真由美氏の陣営はこの日、翌日に行う街頭演説の準備を吉野川市の事務所などで行った。スタッフの1人は「10月末の可能性は低いと思っていた」。14日に衆院が解散すれば、公示まで5日しかない。「法定ビラや選挙公報の用意、街宣車の契約など、やることが山ほどあり、時間がない」と嘆く。

 「出馬に向けた作業を一つ一つこなしている中で日程が早まり、準備万端とは言えない」と戸惑うのは、1区から立候補予定の維新新人吉田知代氏。4日午後に県庁で開いた出馬会見の直前、報道で知って驚いたという。ポスターやはがきの印刷などを急ぐ考えで「短期決戦だが、陣営が一丸となって戦う」と意気込んだ。

 1区からの立候補を予定する無所属元職仁木博文氏は、9月中旬から毎日午後6~9時、医師として後援会事務所で新型コロナワクチンを接種している。11月7日投開票を想定し、その場合の公示日となる10月26日まで接種の予約が埋まっている。陣営関係者は「予約分は接種する責任がある。公示後、当面は夜の選挙運動は制限せざるを得ない」と頭を抱えている。

 2区に新人久保孝之氏を擁立する共産党県委員会の幹部は「新首相が誕生し、支持率が高いうちに早めにやってしまおうという判断だろう。1週間分急がないといけないが、政権交代に向けてやるべきことをしっかりやるだけだ」と語った。

(新居和人、佐藤亮、秦梨帆)

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