「衆院選とくしまのミカタ」(2)なぜ対立? 後藤田氏 VS 県議&知事
国政への転身が取り沙汰される飯泉嘉門知事。その背景には、自民党現職の後藤田正純氏と、知事を支持する自民党県議との対立があります。なにが起きているんですか、坂田キャップ!
後輩記者)
どうして自民党内で後藤田氏と県議は対立しているの。
坂田キャップ)
対立が表面化したのは2019年4月の知事選だった。5期目を目指す飯泉知事を自民党県連が推薦したのに対し、後藤田氏は知事の多選を批判して対抗馬を支持したんだ。反りが合わない両者の確執は以前からだけど、県民に広く知られるようになったのはこの選挙だよ。
後輩記者)
知事は苦戦したそうですね。
坂田キャップ)
そう、新人候補に約3万6千票差に迫られ、予想以上の激戦になった。多選をよく思わない有権者も多かったんだろうね。選挙後に知事は、相手候補の前面に立って支援した後藤田氏に不快感をあらわにした。
後輩記者)
選挙が終わればノーサイドとよく言うけど…
坂田キャップ)
とんでもない。半年後の10月にあった吉野川市長選や、2020年4月の徳島市長選でも同じような構図になった。吉野川市長選では後藤田氏が推す原井敬氏が、徳島市長選では県連幹部や多くの自民県議が支援する内藤佐和子氏が当選。どちらも市を二分する接戦だったよ。
徳島市長選では、当時は徳島1区からの出馬を模索していた福山守衆院議員(自民、四国比例)が内藤氏を支援し、次期衆院選の「代理戦争」との見方が広がったよ。
坂田キャップ)
最近は選挙のたびに「後藤田氏 VS 県議&知事」の対立が先鋭化し、溝は深まっているんだよ。
後輩記者)
じゃあ今度の衆院選もその流れにあるってことですね。
坂田キャップ)
その通り。自民党県議は知事を徳島1区にかつぎ、ついに後藤田氏にぶつけようとしているんだ。知事としても、国政転身のチャンスと捉えているはず。後藤田氏は「正々堂々と闘う」と受けて立つつもりだよ。
後輩記者)
これは激しい争いになりそうですね。。。両者は最初から関係が良くなかったんですか。
坂田キャップ)
もともと2003年の知事選に飯泉氏を擁立したのは自民県連なんだ。当時徳島県の県民環境部長だった飯泉氏は、総務省から出向していた官僚。革新系の前知事に対抗するため、衆院議員1期目の後藤田氏も選挙で応援し、飯泉県政が誕生した。
後輩記者)
そんな後藤田氏が知事を批判するようになったのはなぜ。
坂田キャップ)
後藤田氏は、知事は長く務めているのに結果が出せていないと主張している。全国最下位の宿泊者数やワースト2位の都道府県魅力度ランキングなど、各種の指標で徳島は低迷していると。とくしま記念オーケストラ問題はまさに多選の弊害で、だから知事を代えないといけないと言って前回の知事選で対抗馬を推したんだ。そんな県政を厳しくチェックできていないとして、県議にも矛先を向けているよ。
後輩記者)
県議はなぜ知事を支えるの。
坂田キャップ)
自民県連の嘉見博之幹事長は、官僚出身の知事の手腕を高く評価している。いわく、吉野川や那賀川の治水対策、県南への高速道路延伸などで国から方向性を引き出し、消費者庁の拠点も徳島に誘致した。全国知事会長として国に政策提言を重ね、地方の声を反映させたことも成果として挙げている。後藤田氏の指摘については「知事や県議の責任にするだけでなく、徳島の発展に向けて国会議員も協力するべきだ」と反論しているよ。
※徳島1区には、旧民主党元職の仁木博文氏も立候補を予定しています。