2021/10/02 05:00

【解説】飯泉知事 出馬表明直前、慰留受け翻意

 注目された飯泉嘉門知事の衆院選への態度表明は、異例の展開となった。これまでの言動などから国政転身が有力視され、いったんは出馬の意向を固めておきながら、自民党県議からの慰留を受けて土壇場で一転させた。知事は意欲を見せていただけに、断念に追い込まれた格好だ。

 知事は1日朝、支援者らに電話で出馬することを伝えていた。その段階では、県議会の場で表明するつもりだった。最大会派・県議会自民党(24人)も、大半の県議は知事の決断を支持するという方向でまとまっていたという。

 

手直しした原稿を確認する飯泉知事=本会議場

そんな中、慰留に乗り出したのは、これまで知事の転身を促してきた嘉見博之会長ら会派幹部。背景には、飯泉氏が衆院選に出馬した場合に行われる知事選に、三木亨参院議員が意欲を示していることがある。自民党現職の後藤田正純氏らと戦う衆院選徳島1区だけでなく、保守分裂の激しい選挙戦になることが予想され、何とか避けたいとの思いがあった。

 さらに三木氏は、合区対象4県の議席確保などを目的に設けられた特定枠で当選しており、議席を辞することへの影響が広がっていた。

 1日までにも知事を慰留してきたようだが、直前になって最後の説得を試みた。落としどころとしたのは、他会派が提出した知事職にとどまる決議案に県議会自民党が賛成し、知事の不出馬の理由にすることだったとみられる。最後は知事も折れざるを得なかったようだ。

 知事の出馬は既定路線と考えられてきた。目前に迫った衆院選では、知事の擁立を念頭に、自民党徳島県連は後藤田氏の非公認を党本部に求めている。知事が不出馬を決めた以上、たちまち衆院選への対応が問われる。

(坂田佑耶)

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