飯泉氏、衆院選不出馬 県議会で表明「知事職に全力」【動画】

徳島県の飯泉嘉門知事は1日の県議会9月定例会本会議で、衆院選徳島1区への立候補について「熟慮した結果、出馬せず、知事職に全力で取り組むことを表明する」と述べ、見送る考えを表明した。知事は、本会議開会前には後援会関係者らに出馬する意思を伝えていたものの、直前になって自民党県議から思いとどまるよう説得され、翻意した。周辺では、衆院選に加えて国政転身した場合に行われる知事選も激しい選挙が予想されるため慎重論が出ていた。
本会議は午前10時の開始を予定していたが、最大会派・県議会自民党の嘉見博之会長らが控え室で知事の説得に当たるなどし、2時間近く遅れて始まった。
開会後には、「新しい県政を創る会」の県議4人が、新型コロナウイルスの収束や県内経済立て直しのために、知事職にとどまるよう求める動議を提出。仁木啓人氏が「コロナ禍の中で県民の命と生活を背負うリーダーの不在は許されない」などと提案理由を述べた。新風とくしま、共産の2会派と自民3人(嘉見博之、喜多宏思、井川龍二各氏)の計8人が退席し、議長を除く27人が賛成して決議案が可決された。
知事は閉会のあいさつで衆院選に向けた対応について「全国知事会長の経験を新たな場で生かすのが徳島発展のための責務ではないかと考えた」「知事としてコロナの『第6波』を迎え撃ってほしい、経済雇用対策を展開してほしいという声があるのも事実」と説明。その上で「知事職に全力で取り組むことを求める重い決議があった」と述べ、出馬しない意向を示した。
知事の国政転身を巡っては、自民党徳島県連が、徳島1区の現職後藤田正純衆院議員を公認しないよう党本部に求めるとともに、県議会自民党が6月と9月の県議会定例会代表質問で知事に出馬を促してきた。知事も9月16日の代表質問では「知事では限界がある」と答弁するなど意欲を示していた。(政経部取材班)
■後藤田副知事が辞職 「調整で力不足 迷惑かけた」
徳島県の飯泉嘉門知事が次期衆院選徳島1区に出馬しないことを表明したのを受け、後藤田博副知事(66)が1日、辞職した。徳島新聞の取材に「自民党県連や県議会との調整など、知事には私の力不足で大変迷惑をかけた。責任を取りたい」と話した。
知事が出馬を断念した理由について、後藤田氏は知事が衆院選に立候補した場合に行われる知事選に、特定枠で当選した三木亨参院議員が意欲を示していることが影響を与えたと指摘。「県民の努力で確保できた議席を簡単に捨てようとする動きは残念でならない」と強調した。
後藤田氏は2017年7月に副知事に就任し、今年7月に再任されていた。今後について「新たな体制で県政運営に当たっていただきたい」と述べた。(坂田佑耶)
■嘉見氏「混乱の責任は私に」
徳島県議会の最大会派・県議会自民党の嘉見博之会長(自民党県連幹事長)は1日、飯泉嘉門知事が次期衆院選への不出馬を表明したことに対し、「混乱させた責任は私にある。申し訳ない」と陳謝した。
嘉見氏は4月にあった同僚県議の県政報告会で、同席した知事に「衆院選徳島1区に出てほしい」と発言。県議会6月定例会の代表質問でも出馬を促してきた。最終的に翻意を促した理由について、嘉見氏は「知事選を含めて激しい選挙戦になれば、1区だけではなく徳島全体が二分されてしまう。どうすることが徳島にとって一番良いのか考えた」と説明した。(坂田佑耶)