2021/09/15 05:00

飯泉氏の衆院選出馬見据え、「知事選」巡り動き活発

 衆院選徳島1区への立候補が取り沙汰される飯泉嘉門知事が、出馬するとの見方が強まってきた。国政転身を決めた場合の知事後継候補として名前が挙がる官僚が県議会を訪ねるなど、知事選に向けたとみられる動きが出始めているためだ。他にも徳島1区の候補予定者周辺で知事選をにらんだ検討が進んでいる。11月投開票が有力視される衆院選と知事選が同時に行われる「ダブル選挙」となる可能性が浮上しており、1区では二つの選挙の候補者が連動する戦いも予想される。

 県議会9月定例会が開会した10日、議会棟に県出身の女性官僚が姿を見せた。飯泉氏の後継候補とささやかれており、臆測を呼んだ。自民党会派などの控え室を回った後、記者団から知事選との関連を問われ「携わっている東京五輪・パラリンピックの仕事でお世話になったのでお礼に(来た)」と説明した。

 女性官僚はこの日と翌日、女性団体や業界団体の役員らとも面会した。ある県議は「知事選を見据えた顔合わせだろう」と推測する。

 一方、徳島1区の自民党現職後藤田正純衆院議員の周辺も動きが活発化している。関係者によると、11日夜、吉野川市内の飲食店に後藤田氏や関係の近い首長ら数人が集まった。知事選への対応を協議し、その場にいた自民党の三木亨参院議員を推すことを確認した。

 三木氏は徳島新聞の取材に対し、「知事選があるなら」と前置きした上で、「いまは徳島がばらばらになっている。それを一つにまとめて元気な徳島を取り戻したい」と出馬に意欲を見せた。知事選の実施が決まった段階で「決意を語りたい」と述べた。

 「知事が衆院選に出れば、知事選には三木氏が出る」との情報は早くから後藤田氏周辺から流れていた。自民関係者は「知名度がある三木氏の名前を出すことで、知事サイドの後継候補擁立をけん制しているのではないか」と指摘する。

 無所属で徳島1区に立候補予定の元職仁木博文氏の陣営も、知事選に独自候補を立てることを「選択肢の一つ」と位置付け、「リベラル側の候補者が必要になる」(陣営幹部)と擁立を模索している。

 小さな声に耳を傾けられる人物がふさわしいとして、政治経験のある女性や行政経験のある男性に出馬を打診した。めどは立っていないものの、今後も調整を続ける構えだ。

 飯泉氏は衆院選に出馬するかどうか、いまだ態度を明らかにしていない。衆院選に臨むなら、知事選の候補と連動した戦いを視野に入れているとみられている。

 知事が県議会議長に辞職を申し出た場合、議長は5日以内に県選挙管理委員会に通知し、選管は通知を受けた日から50日以内に選挙を行わなければならない。衆院選は11月となる公算が大きく、「ダブル選」とするなら、10月以降の態度表明が有力となる。

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