2021/11/02 05:00

与党 内紛自民、混乱続く【戦い終えて 21衆院選とくしま】上

 第49回衆院選は自民、公明両党が絶対安定多数を確保した。徳島県内では1区で自民が敗れ、2012年から続いてきた小選挙区の議席独占が崩れた。2区では、12年以来となる野党第1党の立憲民主党が候補者を擁立したものの伸び悩んだ。選挙戦を振り返った。

 徳島1区で自民の後藤田正純氏が無所属の仁木博文氏に敗れたことに、後藤田氏と対立する自民徳島県連の幹部は言葉少なだった。「なんとも言いようがない」。その短い言葉に、今回の衆院選の異質さが込められていた。

 県議会最大会派・県議会自民党の県議らが上層部を占める県連は、後藤田氏の言動を問題視し、一貫して「反後藤田」の立場を取ってきた。県議が擁立を目指してきた飯泉嘉門知事が不出馬を決め、党本部が公認しても「自主投票」と決めた。知事や自民県議を批判してきた後藤田氏も、国政選挙でありながら「県政刷新」を訴えるなど、対決姿勢をあらわにした。

 こうした対立の激しさは、連立を組む公明にも波紋が広がった。これまで選挙区では、自民候補を推薦してきた公明県本部は「自主投票」で臨んだ。

 与野党対決というこれまでの構図とは異なる側面を抱え、支持者らにも戸惑いが広がった。共同通信の出口調査によると、自民支持層の3割、公明支持層の5割が仁木氏に流れた。与党支持層を固めきれなかったことが、後藤田氏の敗因の一つとなった。

 19年の知事選、20年の徳島市長選と、県内の大きな選挙で後藤田氏と県連や自民県議は対立し、亀裂は大きくなってきた。いずれの選挙が終わっても「ノーサイド」とはいかず、衆院選小選挙区で自民が議席を失う事態になるほど深刻化している。

 痛手を負ったのは、選挙区で敗れた後藤田氏だけではない。衆院選出馬に意欲を見せていた知事は土壇場で不出馬を表明した混乱が尾を引き、求心力の低下がささやかれる。県議会自民党は会派との考えの違いなどから10月以降、3人が脱退して21人になるなど、結束にほころびが見える。

 この対立は今後も続くとみられる。衆院選から一夜明けた1日、後藤田氏は「(県政改革への)姿勢はいっさい変えない」と強調した。県連幹部は「これからがより深刻だ」と予想する。

 焦点となるのは約1年半後の23年春に行われる知事選と県議選だ。後藤田氏は「共鳴する同志と一緒に徳島をいかに良くするかやっていきたい」と述べており、知事や県議候補の擁立を目指す考えを示唆している。

 ある自民党員は「徳島のために互いに歩み寄ることはできないのか」と冷ややかにみる。経済界の関係者も「これ以上の混乱は避けてほしい」と望む。

 一方、2区では自民の山口俊一氏が自民支持層の9割、公明支持層の8割近くを固め、野党の2候補を寄せ付けなかった。1区とは対照的に与党が一丸となり「保守王国」の存在感を見せた。

 来年夏には参院選を控える。県内の自民党内は内紛を抱えたままで、事態打開の兆しは見通せない。

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